ミニシアターポータルをつくる大変さ

前回は、
– ミニシアターはなんでシネコンみたいなシステム(web対応)ないの?
=>映画館向けシステムは大変だし導入費がペイできない
– なんでそんなに映画館システムって作るの大変なん?
=>チケット料金体系が複雑だし複数チャネルをまとめるのが困難
=>映画および映画館事業への理解とリテラシー高くないと難しい
=>web構築と券売機などの端末組み込み系開発を一緒にやれる会社あんまない
=>作ったあとも機能拡張やブラッシュアップが永遠に続く(地獄)
といったことを説明してきました。

弊社が準備しているミニシアタープロジェクトは、同一システムを提供して取りまとめた会員制ポータル的なものなわけですが、これは弊社がすでに5年以上の運用実績がある映画館システムを持っているから可能、となります。前回記事でも触れていますが、もしどこかの事業者さんが「ミニシアターにシステム提供してポータル化しちゃえばいいんじゃね?」という発想でシステムを新規開発をするのは相当に厳しいです。アイデアに関して現実的な検討を続け、最終的なメリットや意義とコストを天秤にかけて決定するのはビジネスの常ですが、システムの新規開発を伴う時点で早々にNGが出る案件でしょうね…。その点では、このプロジェクトは弊社の資産から発想したものなので、クリアすべきはビジネスモデルの質というか、まあ端的に言うとお金の流れですね。

これだけのシステムですから、いくら弊社システムがクラウド運用といってもランニングコストはかかります。チケットをwebで売る以上、決済代行会社に手数料が発生します。弊社システムでは決済代行手数料をかなり安く抑えてもらっていますが、映画のチケットはそもそも映画館側の取り分が少ないものですから、なるべく手数料は支払いたくないはず。割引などもやっちゃったりしてますからね。
各ミニシアターさんへのシステム提供フィー、システムのランニングコスト、チケット販売にかかるwebの決済代行手数料、等々。これらは自社サービスとしてチケット販売以外のどこかでキャッシュポイントを作るしかないよなあ、と思いました。そうなると有料制の会員サービスとして会費をいただく仕組みしか選択肢がなく、必然的に弊社がこのプロジェクトの事業主になるしかなさそうです。幸いなことに、弊社システムは会員管理と有料/無料の細かな設定ができる仕組みを備えていますし、決済代行会社も契約先は弊社のみになるので都合が良いかもしれません。

ここまではシステムやビジネスモデルについて「よくわからん、気にしたことない」という方にもわかる話かと思います。うちの高齢の両親でも理解できたので大丈夫なはずです!

なお、このサービスの利点は『ポータルから作品を探して(参加している)上映ミニシアターへのweb予約/決済ができる』ことであり、それが1アカウントで可能なことです。ECストアポータルなどであれば、年会費や月額会員費を支払うことで参加している様々なショップさんで(webポータルから)購入ができ、送料無料や先行販売などの優待特典を得られる仕組みかと思います。
しかし、このミニシアタープロジェクトの場合は、web予約/決済の後に実際にミニシアターへ足を運ぶことになるわけで、そうなるとエリアは限定されていないとあまり利用価値が見出せません。せっかく会員登録して会費も払って、観たい作品を見つけても、それが容易に行けるエリアでないのあれば意味がないでしょう。必然的にこのプロジェクトは対象エリアとミニシアターさんを限定せざるを得ないわけです。
これには別の側面での理由もあって、弊社がサポートにまわれる限界というのもあります。今は池袋に構えているものあり、さらに小所帯でメンバーにオジサンしかいないのもあり、東京都内もしくは1都3県に限定するしかないのでは…と思っています。ビジネスモデルの限界というか、良く言えば規模感が明確で取り組みやすいとも言えますが、とにかく発展性や将来性については上限が見えているわけです。この点についても、大手サービス事業者さんが手を出さない理由でしょうね。対象範囲を拡大してしまうと会員さんにとっては有用性が下がるという反比例なわけです。

またまた長くなってきましたので、、、また次に。次は会員さん向けの部分での検討項目について書いてみたいと思います。